純米大吟醸と大吟醸の違い 日本酒の特定名称

ラベルの「純米大吟醸」「純米吟醸」「本醸造」は、国が決めた 8 つの「特定名称」です。米をどれだけ磨いたか(精米歩合)と、醸造アルコールを加えるかどうか、の 2 つの決まりで区分されます。どれにも当てはまらない酒は「普通酒」と呼ばれます。造り手の評価ではなく、原料と製法の区分です。

いちばん大きな違いは、名前に「純米」が付くかどうか。純米は米と米麹と水だけで造り、本醸造や吟醸・大吟醸は少量の醸造アルコールを加えます。添加は「薄める」ためではなく、香りを引き出して後味を軽くするための伝統的な技法で、上に行くほど米を磨く割合が増えます。

純米大吟醸と大吟醸、どちらが高い? どちらを選ぶ?

決まりの上での違いは醸造アルコールを加えるかどうかだけで、米を磨く割合の決まり(精米歩合 50% 以下)は同じです。ただし実際の商品では、精米歩合の中央値が大吟醸 40%、純米大吟醸 45% で、大吟醸のほうが深く磨いた商品が少し多い傾向です。純米大吟醸のほうが「上」というわけではありません。値段も区分では決まらず、いま在庫のある商品の 720ml の最安値の中央値は、純米大吟醸 ¥3,300(1,329 種)、大吟醸 ¥3,999(574 種)です。大吟醸のほうが高く出ていますが、これは区分の差ではなく、大吟醸は商品数が少なく、蔵の看板や鑑評会向けの高価なものの割合が高い一方、純米大吟醸には手頃な定番が多いためです。酒屋で見た 2 本の値段の差も、同じ蔵なら磨きの差や生産量、別の蔵なら蔵の値付けによるもので、どちらの区分が高いと決まっているわけではありません。

一般には、大吟醸は添加で香りが立ち、後味が軽くなる傾向、純米大吟醸は華やかな香りに米の旨みが重なる傾向と言われます。ただし区分の差より蔵や銘柄ごとの差のほうが大きく、同じ蔵でも大吟醸のほうが旨みのある造りという組み合わせもあります(八海山など)。どちらか 1 本を選ぶ目安は、冷やして香りを楽しみたい・乾杯や軽い前菜と合わせたいなら大吟醸、食事と一緒にゆっくり飲みたい・少し温度が上がっても米の味を楽しみたいなら純米大吟醸。数字で見ると、辛口の印が付く割合は大吟醸 56%、純米大吟醸 25% と大吟醸のほうが高く、添加で後味が軽く辛口寄りに感じられやすいことと合っています。辛口が好きなら大吟醸から探すのも目安になり、食事に合わせるかどうかの目安とどちらを優先してもかまいません。贈り物はどちらでも格は同じです。同じ蔵の 2 本が手元で比べられるなら、それがいちばん確かです。各商品のページの「同じ蔵の大吟醸と比べると」(純米大吟醸のページでは逆)の行に、ショップの商品説明で使われる味の言葉の違いを出しています。

9 つの区分 特定名称 8 つ + 普通酒

特定名称精米歩合醸造アルコールひとこと在庫の商品最安値の中央値(720ml)
純米大吟醸 純米大吟醸 50% 以下 加えない 米・米麹・水だけ。大吟醸との違いは醸造アルコールの有無だけ 1,329 ¥3,300 純米大吟醸を探す
大吟醸 大吟醸 50% 以下 少量加える 磨きは純米大吟醸と同じ。香りを引き出す少量の添加 574 ¥3,999 大吟醸を探す
純米吟醸 純米吟醸 60% 以下 加えない 吟醸造り(低温でゆっくり発酵) 1,546 ¥1,980 純米吟醸を探す
吟醸 吟醸 60% 以下 少量加える 吟醸造り 199 ¥1,694 吟醸を探す
特別純米 特別純米 60% 以下か特別な製法 加えない 「特別」の理由をラベルに書く 431 ¥1,760 特別純米を探す
純米 純米 決まりなし 加えない 米の旨みとコク 1,468 ¥1,650 純米を探す
特別本醸造 特別本醸造 60% 以下か特別な製法 少量加える 「特別」の理由をラベルに書く 88 ¥1,389 特別本醸造を探す
本醸造 本醸造 70% 以下 少量加える すっきり、燗にも 247 ¥1,300 本醸造を探す
普通酒 普通酒 決まりなし 決まりなし 特定名称に当たらないもの。紙パックや大瓶に多い 240 ¥1,133 普通酒を探す

精米歩合は、玄米を削って残った割合。50% なら半分まで磨いたという意味で、数字が小さいほどよく磨いています。中央値は、いま楽天市場・Yahoo!ショッピングに在庫のある商品のうち 720ml の出品があるものの最安値を並べた真ん中の値です(720ml が無く一升瓶や小瓶だけの商品は除く)。区分は国税庁「清酒の製法品質表示基準」による。

「純米」と「本醸造」の違い

純米酒は米・米麹・水だけで造ります。本醸造や吟醸・大吟醸は、白米の重さの 10% 以下の醸造アルコールを加えます。加える目的は、もろみに溶けた香りの成分を引き出すことと、後味を軽く整えること。江戸時代からある技法で、量に上限があるため、いわゆる「アル添」で薄めた安酒とは別物です。

味わいの傾向としては、純米はコクと米の旨みがはっきりして燗にも向き、本醸造・吟醸系はすっきりして冷やして飲みやすい、と言われます。ただし造り手の差のほうが大きいので、同じ蔵の純米と本醸造を飲み比べるのがいちばん分かりやすい方法です。

「吟醸」と「大吟醸」の違い

吟醸は精米歩合 60% 以下、大吟醸は 50% 以下。米を多く磨くほど雑味のもとになる外側のたんぱく質や脂質が減り、低温でゆっくり発酵させる「吟醸造り」と合わせて、果実や花のような香り(吟醸香)が立ちます。磨く分だけ米が要るので、値段も上がります。

「純米大吟醸」はその両方を満たしたもの。ラベルに「磨き二割三分」「精米歩合 35%」のように、区分の下限より低い数字を掲げる商品も多く、これは蔵の技術の見せどころです。

飲んで違いは分かるか

同じ蔵の純米と純米大吟醸を並べると、純米大吟醸のほうが香りが華やかで口当たりがなめらか、純米のほうが米の味がしっかりして食事と合わせやすい、という違いは多くの人が分かります。ただし「上の区分ほどおいしい」わけではありません。純米が好きな人、本醸造の燗が好きな人は多く、区分は「どんなタイプか」を知る手がかりです。

値段の目安

いま在庫のある商品で見ると、720ml で純米は 1,500〜1,700 円 くらいのものが多く、純米吟醸は 1,800〜2,000 円 くらい、純米大吟醸は 2,400〜3,300 円 くらい、大吟醸は 3,000〜4,000 円 くらいが中心です。同じ区分でも蔵元と銘柄で幅が大きく、純米大吟醸にも ¥660 からの商品があります。一升瓶(1.8L)は 720ml の 2 倍より少し安いことが多く、換算は 容量の目安 に。

自分が買うならどれか

普段の食事に合わせて家で飲むなら、まず純米か純米吟醸から。同じ県の蔵元を変えて飲み比べると、県の傾向と蔵の個性が見えてきます。気に入った蔵が見つかったら、その蔵の純米大吟醸へ進むのが自然な順番です。

贈り物のように一本で相手に伝わる名前が要るときは、純米大吟醸が向いています。ただし華やかなタイプは開けたら早めに飲みきるものが多いので、贈る相手がゆっくり飲むなら、純米や本醸造の燗向きの一本を選ぶ手もあります。

区分ごとの味と数字 いま在庫のある商品の印と表記から

甘辛は、甘辛の分かる商品を辛口・やや辛口・中口・やや甘口・甘口に分けた割合(5 つで 100%)。日本酒度は + が大きいほど辛口寄り、酸度は高いほど味が濃くしっかり感じられる目安で、どちらも商品説明に書かれた値の中央値です。精米歩合は決まりの上限(大吟醸・純米大吟醸は 50% 以下)ではなく、実際の商品の中央値です。

特定名称辛口やや辛口中口やや甘口甘口日本酒度酸度精米歩合いちばん多い味わいの印
純米大吟醸 25% 28% 28% 10% 9% +2.0 1.4 45% 華やか・フルーティ 66%
大吟醸 56% 30% 12% 1% 1% +4.0 1.2 40% 華やか・フルーティ 75%
純米吟醸 32% 30% 23% 7% 8% +2.0 1.5 55% 華やか・フルーティ 57%
吟醸 77% 15% 6% 1% 1% +4.0 1.3 55% 華やか・フルーティ 53%
特別純米 42% 35% 17% 2% 5% +3.0 1.6 60% 旨みがある 55%
純米 48% 24% 14% 3% 11% +3.0 1.6 65% 旨みがある 53%
特別本醸造 58% 21% 11% 8% 3% +4.0 1.3 60% すっきり 65%
本醸造 55% 25% 14% 3% 3% +3.5 1.4 65% すっきり 58%
普通酒 44% 19% 27% 4% 6% +2.0 1.3 70% すっきり 56%

甘辛は日本酒度 +3.5 以上で辛口、+1.5 以上でやや辛口、-1.5 以下でやや甘口、-3.5 以下で甘口、その間は中口。商品名に「辛口」「甘口」とあればその表記。味わいの印は各ショップの商品説明でよく使われる語から付けたもので、印の付いた商品の中の割合です。集計は毎日の在庫で変わります。集計の方法

ラベルの読み方の補足

「特別純米」「特別本醸造」の「特別」は、精米歩合 60% 以下か、特別な製法(酒米の指定、木槽しぼりなど)で、その理由をラベルに書くことになっています。「生酒」「原酒」「無濾過」「にごり」「山廃」「生酛」は特定名称ではなく、火入れの有無や加水・濾過・酒母の造り方を表す言葉で、特定名称と組み合わせて使われます(例: 純米吟醸 無濾過生原酒)。意味は 用語集 に。

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